| ◎ ませがきをからかう(桃視点 浦桃チック) |
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亀の奴は何を考えてるかわからねぇ。 「リュウタが見てるから」 ある夜そういいながら奴は俺の布団に入ってきた。 ……びびった。 いや、そんなにはビビらなかったけどな、一瞬呼吸が止まっちまっただけだ。 寝ぼけたのかと思った。 寝ぼけたにしてはいやにはっきりした口調で目をつぶって寝たふりして言ってるから、もうオレには一体何がなにやらだ。 俺と亀は同じ部屋だ。 俺はどうも時々寝ぼけて良太郎と奴を間違えて……その、なんだ哀しい夢をみた気がしたあとはええと、慰めるとか、そういうことじゃなくて、……!そばにいてやったほうがいい気がして、良太郎を抱っこしてやる。 良太郎の奴は、低血圧だからか?夏でも冬でも冷たい。 寒いと人間は勢いがなくなる。情けない気持ちになるから、……あっためてやる。 俺の布団に入ってくるときの亀は、冷たい。 「良太郎とタイカンリンクしてるから」 うっすらと目を開ける亀の野郎は「良太郎」の名前を口にする。 良太郎の意識の尻尾を掴んで体の感覚をリンクさせてる。 奴はそういう。 良太郎にあったことはいつも以上に亀に伝わる。亀にあったことも良太郎に伝わる。 俺の頭の奥で良太郎の声が響く。「あったかい」って呟く。 俺の体温で、寒さで縮こまった良太郎の体が寛いだのが分かった。 俺にくっついてるのは良太郎じゃない。亀だ。 わかってるが、良太郎と同じのろのろうごく心臓とか、血管を流れる緩やかな血流とかに、錯覚がおきそうになる。 良太郎と同じ顔の亀。冷たいからだが温まってきて、青いイメージの香りがする亀。くっついていると奴のつかってる香水の匂いが濃く香ってくる。気配が、音もなく近づいてきて、額に音立ててちゅうされた……。 目を開けると、俺の顔に覆いかぶさるようにしてやつの顔が……。 「……」 殴ろうとした手を布団中で掴まれる。 「リュタが見てるから」 「……」 なんでもまねするリュウタをちょっとからかってやらない?。 唇だけ動かし喋る奴。 「……」 奴の肩越しに気配を探ると、確かに入口にリュタの気配がある。 「薄目で見て」 いいながら、うがっ俺のほっぺにちゅうする野郎!布団の中でもう片方の手が、押さえられてる。 薄目で見ると、入口のドアが全開になっていて、茶色いウサギのぬいぐるみをだいたリュウタが見えた。 首をかしげて、紫色の瞳をやや丸くして、やつは口を開けた。直後、奴の後ろから手が伸びてきて、タン。とドアが閉まる。 「熊ちゃん」 「しー」 「亀ちゃんがモモタロスのベッドに入って行った」 「寝ぼけたんやな」 「亀ちゃんでも寝ぼけることあるのかな?」 「あるやろ、そりゃ」 「でも、なんでだろう」 「……さあな、あったかいからちゃうか」 「ふーん。僕と同じなんだね」 「……さ、寝よか」 「はーい」 今日は寒いから、僕も熊ちゃんのところ行ってもいい? 「……」 亀の奴が声を殺して笑ってる。 「やっぱりマネするんだ」 いいつつ奴はリュウタはキンちゃんにちゅうすると思う? と、俺に聞いてきた。 |
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