◎ タイカンリンク(1)桃視点 桃→良チック | ||
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なんてこった。良太郎が雷に当たった。 俺はそのとき良太郎の意識の尻尾をつかんでいた。 そのせいで雷のエネルギーが俺にも伝わった。 良太郎から俺にながれた雷は俺から良太郎に戻り、そこから他のイマジンたちにも流れていった。 良太郎を中心にして、すさまじいエネルギーが俺たちを駆け巡った。 体の内側だけを激しくかき回されたような衝撃がはしる。 指先に向かって走った電気が苦い痛みをつれて体中に広がる。 痛みは良太郎にも逆流する。 俺、亀、熊、小僧……。四人分の苦痛が良太郎を襲う。 悲鳴も上げられないほどの痛みに、良太郎の心臓が止まったのが分かった。血管のなかをゆっくりと流れる血液が溺れたように沈んでいく。 良太郎! 俺の目の前を一瞬何かの景色が通り抜けた。 まぶしいライト、天井は鏡張り、手術台に寝かされた裸の男。その周りに集まる手術着の、医者らしい人間があたふたと動き回ってる。 その男の心臓が止まった。俺にはなぜかそれがわかった。やがて電気ショック。空気をえぐるようにして跳ね上がった男の上半身。 喉が激しく上下して、そいつの心臓が動き出した……。 一回止まった良太郎の心臓がそれで動き出したのが分かった。 ああ、良太郎は助かった。 俺の胸も殴られたような衝撃を感じて心拍が早くなる。 大きく息を吸って、俺は目を開ける。 見慣れたデンライナーの天井が飛び込んでくる。 意識の尻尾は、まあ、なんだ、簡単にいうとイマジンと契約者の絆みたいなもんだ。 良太郎は特異点。如何なる時間の干渉をも寄せつけないというその性質上、ヤツに取りついたら自由に動けない。おまけに、奴が本気になったら俺たちは憑依状態を強制解除させられてはじき出される。 ふつうの人間はそんなことできねぇ。イマジンが取り付いた人間はイマジンのなすがままなのが普通だ。 でも良太郎はちがう。奴が本気になったら、こっちはひとたまりもねぇ。 俺は一番最初に良太郎についたからか他のヤツらよりも良太郎の体内状態がわかる。 奴は血圧が低い。いつもどっかぼーっとしてるのは、そのせいだ。 頭の中ではどうすればいいか分かってるくせに、体がついていかねえ。 俺がはいると、良太郎の体は一気にヒートアップする。 血圧が上がって、体があったかくなり、筋肉や細胞が一息つくのが分かる。 ヤツ自身も楽そうだ。 そんな状態見ちゃ、手を貸す以外ねぇだろ? 時々意識の尻尾を掴んで、やつと俺の感覚を繋げる。 血圧は普通になり、筋肉がいい状態になる。 臨戦態勢に入るのにゃいい感じになる。 亀や熊や小僧は結構無茶するから、やつらが良太郎についたあとは特に注意してやらないといけねぇ。 熊や小僧は、とにかく扱いが乱暴でいけねぇ。 熊がつくと体中あざだらけ。関節はきしむ。筋肉は強張る。 小僧がつくと足腰ががたがたになる。踊りながら戦ったり移動したり……小僧はとにかくちょっともじっとしてねぇ。 亀は、それなりに考えて使ってるみたいだが、奴は良太郎にはいったとき香水をつかう。 それがくさくてたまらねぇ。 結局、良太郎のことを一番考えてるのは俺、ってことだ。 今日も意識の尻尾を掴む。 良太郎は体を鍛えるためにマラソンをしてる。 さあ、感覚をつなげたぞ良太郎。 ちょっとは楽になったろ? 思う存分鍛えなっ。 一緒に戦うお前が強くなれば、俺は嬉しい。 |
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